2006年06月24日

明治古書 村井弦斎著『朝日桜』(1895)189冊目

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今回紹介するのは、村井弦斎著『朝日桜』である。
本書は、 春陽堂より明治28年(1895)に刊行。
挿絵は鈴木華邨が描いている。
本書は新式水雷を発明し、果敢に敵軍に立ち向かう・・・。
言わば架空戦記である。
富国強兵を目指し、亜細亜の覇者を目論んでいた
新国日本にとっては、格好の題材だと思われる。
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2006年06月11日

明治古書 三遊亭円朝演述『塩原多助一代記 一』186冊目

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今回紹介するのは、三遊亭円朝演述
若林カン蔵筆記 円朝叢談 『塩原多助一代記 一』である。
*カン蔵はPCでは出ないので、ご了承下さい。
速記法研究会より刊行。
多分刊行年は明17年(1884年)だと思われる。
私が所持しているのは、塩原多助一代記 一」で、
一巻目であり、第一編〜第六編まで収録されている。
挿絵は朝霞楼(落合)芳幾(1833−1904)と
歌川国久(二代1832−1891)により描かれている。
立身出世の物語で、当時売れに売れた本であり、
後日、修身の教科書にも採用され、また歌舞伎座でも
上演された程である。
今となっては知る人は極僅かになったが、
これも時代の流れであろう。
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2006年05月14日

明治古書 三村芳南著『絶世拷問 雲霧阿辰青木廼夕栄』177冊目

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今回紹介するのは、三村芳南著
『絶世拷問 雲霧阿辰青木廼夕栄』である。
本書は、 錦勝堂より明治17年(1884年)に刊行。
和綴本であるが、近代出版黎明期に当たり、
金属活字と木版により構成されている。
挿絵は、一龍斎国松が描いている。
言葉狩りに慣れた、現代の感覚から言えば、
随分思い切った題名である。
内容は毒婦と言われた、
(鳥追お松、夜嵐お絹、高橋お伝に並ぶ)
雲霧のお辰と青木弥太郎の悪行を描いた戯作である。
最近になり、本書がリプリントされ、
平凡社から刊行(オンデマンド)されたようだが、未見。
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2006年05月02日

明治古書 花笠文京著 『開明小説 四季の花籠』(1884)174冊目

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今回紹介するのは、花笠文京(二代目1857-1926)著
『開明小説 四季の花籠』である。
本書は、繪入自由出版社より明治17年(1884年)に刊行。
和綴本であるが、出版黎明期に当たり、金属活字と木版により構成されている。
(表紙のおどろおどろしい絵が素晴らしい)
挿絵は、当時の人気絵師の月岡芳年とその弟子の新井芳宗が描いている。
明治になっても、まだ明治十年代は江戸の戯作を引きずっていた。
この戯作もその類に漏れず、勧善懲悪、 因果応報譚になっており、
無残な挿絵が描かれている。この当時の戯作はいまだ江戸のままで、
ドギツイシーンがとても多い。しかし、それは我々の目から見た、
現在の感覚であり、当時では当たり前の感覚だったであろう。
この話には、亡霊が出てくるが、明治の世になっても、
幽霊や化け物、妖怪は、まだ当時生きていた人たちには身近な物であった。
本書は和紙を使っているので、凄く軽い。
近代の洋紙を使った本に慣れ親しんでいる、我々には驚くべき軽さである。
また和紙なので、全く劣化しておらず、あと数百年の保存が可能だと思われる。
最近になり、本書がリプリントされ、平凡社から刊行されたようだが、未見。
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2006年04月15日

古書 宮崎三昧著『かつら姫』(1890 春陽堂)166冊目

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今回は、宮崎三昧著『かつら姫』(1890 春陽堂)を紹介する。
以前、本ブログで饗庭篁村の勝鬨を紹介した。
それと同じ、新作十二番之内の一冊である。
和紙、和綴、本文木版、挿絵木版で、
大変美しい和本である。口絵は富岡永洗。
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2005年12月17日

古書 饗庭篁村著『勝鬨』123冊目(1890)

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今回紹介するのは、饗庭篁村著『勝鬨』である。
本書は春陽堂より明治廿三年四月廿三日に
「新作十二番」之内の一番本として刊行された。

江戸から東京となり、明治も20年を過ぎ、
洋式製本の活字本が登場していた。
今なお江戸文化を懐かしく思う声も巷には存在した。
そんな声に応え、あえて和紙、和綴、本文木版、挿絵木版という、
言わば時代を逆行した、このシリーズを刊行したのである。
出版当時から美麗な本として、話題になったシリーズである。
饗庭篁村は、今となっては、とうに忘れ去られているが、
当時は大変な人気を誇った作家であった。
挿絵は当時人気の絵師「月岡芳年」が描いている。
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2005年11月13日

古書 須藤光暉著 一顰一笑 『新粧之佳人』 (1887)116冊目

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今回、紹介するのは、須藤光暉(南翠外史)著の
政治小説で、一顰一笑 『新粧之佳人』。
正文堂より明治20年5月15日刊行の初版である。
初版と再版には違いがあり、挿入されている文中の石版画が
初版だと色刷であるが、再版だとそれが単色刷である。

この『新粧之佳人』刊行された、明治二十年頃は
政治小説が盛んに書かれはじめた時期である。
本書は当時の話題をさらった豪華な装幀であり、
石版画が表紙と挿絵に数葉使われている。
西洋の版元製本を模した造本となっている。
当時*(1)日本が習得したばかりの洋式製本の高い技術力を
示すには、好資料となるだろう。

なお本書に使われた石版画は、
築地活版製造所石版部で刷られたものである。
紙は洋紙だが、劣化は見られない。
多分、輸入した洋紙か、或いは自国生産の紙の
どちらかを使用していると思う。
国内で木綿屑を利用し、洋紙の製造開始が明治8年、
木材パルプを使い、洋紙製造が開始されたのは明治22年である。
それを踏まえ、もしかしたら(劣化が見られないので)
木綿屑を利用した、国内生産の洋紙を使用しているかも知れない。

(1)日本は、製品を買うのでは無く、技術を習得した(買った)。
完成品を買うのは容易い。
しかし長い目で見れば、そこには技術の発展も、 また国の発展もない。
それも日本人の気質なのだろう。 
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2005年10月29日

古書 探偵小説『百萬両』(1893)111冊目

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今回は、春陽堂が明治26年(1893)に刊行した、
探偵小説『百萬両』を紹介する。
私が所蔵しているのは、
明治26年3月30日刊行の三版である。
著者は、葱山人(匿名)訳となっている。
実際に訳したものかは不明。
当時売れに売れたものである。仮綴菊判。
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2005年08月21日

古書 黒岩涙香著(翻案)『人耶鬼耶』80冊目

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今回、紹介するのは、黒岩涙香著(翻案)『人耶鬼耶』である。
フランスの作家ガボリオ「ルルージュ事件」の翻案。
黒岩涙香は明治のジャーナリストであり、名翻訳家。
彼は自ら刊行する新聞紙「万朝報」に海外小説、
主に探偵小説を翻案し、連載した。

この「人耶鬼耶」は元は貸本屋の物で、
発行元の大川屋とは、貸本屋向けの廉価な本を出版していた。
私が持っているのは、明治三十八年(1905)七月廿日十五版。
(今から丁度百年前である)

表紙は石版画で、中の挿絵は木版。
貸本屋が表紙を保護する為に、
手製の表紙を付けてある。
その為に石版画表紙は綺麗なままである。
当時の貸本屋の料金表が貼り付けて有る。
本は食費に比べれば、庶民にとり、高額だったので、
貸本屋で借りて読んでいた。
今でもビデオやDVD等で映画を見る場合は
大抵の人はレンタルするという人が多いのではないだろうか。
それと同様に、昔は貸本屋はどこにでも有り、
生活に密着していたのである。

*フランスは小説が盛んで、また新聞に小説が
 連載され、その為、発行部数を伸ばしていた。
 黒岩涙香はフランスの小説を相当数、翻案している。
 『人耶鬼耶』の表紙は大変意味が有る様に思える。
 これは「人物の影」が「鬼の角」を模し、
 比喩的に、『人耶鬼耶』を表わしている。
 この事を今まで指摘した事例は無い様に思う。
  (もっと明治期における石版画の研究が進んでも良いと思うのだが)
 当時の、このような粋な構図は、今は見られない。
 今の出版は商業主義で、兎に角売れれば
 良いという感じになり、 こんな粋な精神は失われた。
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2005年08月06日

古書 乱歩の原点 黒岩涙香著(翻案)『白髪鬼』(1894)58冊目

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今回、紹介するのは、明治の大新聞人・ジャーナリスト・
翻訳家である、黒岩涙香著『白髪鬼』である。
元はメリー・コレル女史「ヴェンデッタ」(Vendetta 復讐)であり、
それを日本の読者向けに涙香が翻案したものである。
この頃の涙香本には木版口絵が一葉が付いている。
挿絵場面は物語の終盤に当たり、描いている絵師は安達吟光。
江戸川乱歩も涙香の『白髪鬼』を元に同名の小説を書いており、
少年時代の乱歩は涙香の熱烈な愛読者であった。

『白髪鬼』は、人の情というものは、
いつの時代も不変だなと思わせる物語である。
誠に映画向き、長編ドラマ向きの話だと思うのだが、
この様な話がいっこうに映像化されないのは残念である。

 *初版は1894(明治27)年に刊行されたが、
  私が所蔵しているのは、
  扶桑堂から明治40年刊行(五版)のもの。

**黒岩涙香を知ったのは、私が中学の頃であり、
また、何故、黒岩涙香を知ったのかは
小学生の時に江戸川乱歩を読み始めて
からであった。
乱歩の小説の元ネタは涙香と知った為である。
江戸川乱歩からは黒岩涙香の他に、
月岡芳年を知ることにもなった。
乱歩が芳年の無残絵を収集していたことを
知った為である。
月岡芳年という、異彩を放つ、天才絵師を知ったのも、
(涙香を知った同時期の)中学の時であった。
中学生であった私は、それから、黒岩涙香や
月岡芳年を追求していくことになる。

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2005年07月16日

7月16日 古書 春のや主人著『桐一葉』 (1896)48冊目

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今回は春のや主人
(坪内雄蔵・坪内逍遙)著『桐一葉』を紹介する。
明治以降の新歌舞伎の代表作。
明治29年に春陽堂より刊行。
(私が所蔵しているのは、同年訂正三版)
写真の木版口絵(鈴木華邨画)は、
怨霊に怯える淀君が茶坊主を刺殺する場面を描いている。
春陽堂は(明治から現代まで続く出版社)
極めて綺麗な本を数々出版している。
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